1月 02

甘さとほろ苦さが味わえるキャラメルを題材にした小説

甘いものを食べると心が満たされるものです。心身ともに疲れている時に、チョコレートを一かけら口に入れるだけで、行き詰っている気持ちが解き放たれることや目の前にある仕事をもう少し頑張ってみようという気持ちになった経験を持つ人も多いのではないでしょうか。そんな気持ちにさせてくれるのは、チョコレートだけではありません。昔からキャンディの定番とも言えるキャラメルもその一つだと思います。
私のお気に入りの小説にはそんな美味しいお菓子を題材にした物語があります。この作品は粋なおばあちゃんでとその孫の男性の関わりを軸にしたお話しです。ガソリンスタンドでバイトをしながら生計を立てる20代の孫には心寄せる女性がおり、その人とお付き合いすることになります。しかしながら関係は上手くゆかず男性は辛い別れを経験します。そんな彼の祖母は恋愛の師範ともいえる人でいつも颯爽としていて、とにかくカッコいい女性です。そしてこの女性のカバンの中にはいつでも昔から売られているキャラメルが入っています。その箱を取り出しては一粒口に入れるのです。その姿がとても洗練されており、私もこの作品を読んだ直後はよくキャラメルを食べていたものでした。そしてこの小説は甘さの中にもビターさがあるこのキャンディと恋愛の醍醐味をとても丁寧に絡めて描かれています。
恋愛には優しさだけではなく時にはスパイスも必要なものです。甘い中にほろ苦さがあるこのお菓子を食べると思い出すこの小説は、若かりし頃のビターな恋愛を思い出させてくれるものです。そしてこの小説の主人公もまた年を重ねてキャラメルを食べた時に、辛い経験が心地よい思い出に変わる日がいつか来てほしいものだと思いました。

Posted in 小説LOVE | 甘さとほろ苦さが味わえるキャラメルを題材にした小説 はコメントを受け付けていません
12月 18

花屋といえば思い出す小説

もう半年近くも前になります。ある初夏の日に友達夫婦とその子供と博物館に行った帰りにアイスを食べるため、ある駅に降りました。ガード下には下町らしい個性的なお店が立ち並んでいたこともあり楽しい街歩きをしていたところ、多くのお客さんで賑わう花屋を見つけました。どれもとても安くて新鮮なものばかりで、見ているだけでもワクワクしたものです。その日私達はまだ蕾の芍薬を購入しました。友達の子供が両手いっぱいに芍薬を抱えている姿が愛らしくて、町行く人々のアイドルになっていたことが懐かしいです。そんな微笑ましい光景と一緒に浮かんだのは、お花屋さんで働く女性が主人公の小説です。小さな店を切り盛りする女性と一緒に暮らす塾の講師をする男性の恋愛を描いた作品です。何気ない日常生活を通して描かれた大人の恋愛は、まだ若かった私の心に新鮮に響きました。カッコいいバーも高級なレストランも出てこないけど、じっくりと育む愛と居心地がよい場所があれば幸せなのだと感じたものです。しかしながらこの小説のラストは思いがけない出来事が待ち受けており、人生とはただならないものなのだということを知るのでした。この小説のように遠かれ近かれ未来の自分に青天霹靂な出来事が起ころうとも、お花を綺麗だと感じる心や気持ちのゆとりは持ち続けていきたいと思いました。
…なんてことを急に思い出して筆を執ったのでした。

Posted in 小説LOVE | 花屋といえば思い出す小説 はコメントを受け付けていません
12月 04

大きな果物を誰かと食べる幸せ

女友達が語ってくれた初めて一人暮らしをした時の話です。今からかれこれ5年位前の30歳を過ぎた蒸し暑い7月の週末に古いアパートに引っ越しをしたそうです。両親と弟、そして友達が手伝いをしてくれて人生で初めての引っ越しが終わり、みんなでお昼ご飯の準備をしていた時、父親が大きなメロンを買ってきたそうです。それはささやかな引っ越し祝いでした。まだまだ熟しておらず固かったため、柔らかくなるまで置くことにしたそうです。それから数日経った日のおやつに大きなメロンを切ることにしました。メロンが大好物なため一人占めできることにささやかな幸福を感じたそうですが、口に運んでいるうちに切なくなり涙がこぼれてしまったとのことです。それは家族で囲んだ食卓を思い出し、とても寂しくなったからだと話してくれました。
さて夏と言えばもう一つなくてはならない果物にすいかがあります。私のお気に入りの小説には、大きくてずっしり重いすいかが登場します。この作品は30歳を過ぎた女性が母と暮らす家を出て、女性だけが住む食事付きの寮のようなところで暮らす物語です。熱い夏の日にそこで暮らす女性達がみんなで黙々とすいかを食べている場面は、和やかでとても温かい気持ちになったものです。生きていると孤独を感じることや不安になることもたくさんあるけれど、誰かと大きなすいかを一緒に食べることができたら何とか生きてゆけそうな気がします。こうしたエピソードが頭に浮かぶ時、人と過ごす幸せを思うこともしばしばです。

Posted in 自分LOVE | 大きな果物を誰かと食べる幸せ はコメントを受け付けていません
11月 19

おみくじから思うこと

神社やお寺のある町を訪れる時、なるべく立ち寄り参拝することにしています。先日もある大きな神社へ行きました。今まで前を通ったことは何度かありましたが、敷地内に入ったのはこれが初めてでした。参道までは幾つかの檜で出来た大きな鳥居があり、それらはとても立派でした。そして境内に近付くに連れておごそかな雰囲気を感じると供に、気持ちも落ち着いてゆくのを感じたものです。また一番始めにくぐった鳥居から10分ほど歩いて辿り着いた境内はとても立派で美しく、今まで行った神社の中でも最も記憶に残る建物だったと後になっても思い出されます。
さて、この日私は参拝後におみくじを引いてみました。そこには「現状に満足することなく向上心を忘れず生きてゆけば必ず幸せになる」と書かれていました。過去にも何度かおみくじを引いたことがありますが、こうした教訓のようなフレーズが記載されていることが多いものです。例えば「人の話に耳を傾けること」「日々目の前のことにあることに手を抜かずに取り組むこと」など、古文や仏教の説法から引用されたもの達には生きている上で心得ておきたいことが詰っていると感じます。またこうしたフレーズを通して決して自分よがりにならず、周囲に耳を傾けてみることは大切なことだと思います。未来に待っている「幸せ」を手にいれるためには、周囲の意見を柔軟に取り入れながらそこまでの過程を充実した豊かなものにしてゆきたいものです。

Posted in 小説LOVE | おみくじから思うこと はコメントを受け付けていません
11月 04

心から憧れる映画のヒロイン

私の心に強く残る憧れの女性がいます。この方は60年代の日本映画のヒロインです。初めてこの作品に出会ってから長い月日が経ちますが彼女をふと思い出す時、不思議と強いパワーが湧いてくるものです。ヒロインは気風がよくて美しく芯の強い女性です。しかしながらうだつの上がらない甲斐性なしの男性ばかりを好きになってしまうところがあり、少々危なっかしいところもあります。お金持ちやインテリジェンスな青年実業家などから心を寄せられても自分が好きになった男性を一途に愛し、その結果辛いことが起きてもそれをバネに凛と生きるところは潔くて素敵です。そしてもう一つの魅力は、大切な人達を傷付けるやから達を許さず立ち向かうところでしょうか。まさに真っ向勝負という言葉がピッタリのシーンは見ていて惚れ惚れします。また怒りが頂点に達した時、まるで般若のように見えたことも印象的でした。その表情を観た時、以前男性作家が書いたエッセイに「美人は怒らせると怖い」という内容のものがあったことを思い出したものです。この映画の監督も男性です。そのため美しい女性が怒りに満ちた時の怖さを知っているのかもしれません。しかしながら一生懸命に誰かを愛し、大切な人を守るために怒れるところからは深い優しさと人間味を感じます。だからこそこのヒロインがいつまでも私の心の中にあり続けるのだと思います。

Posted in 自分LOVE | 心から憧れる映画のヒロイン はコメントを受け付けていません
10月 22

新しいことにチャレンジする時に思い出したい小説

もう何年も前に読んだ戦争を題材に書かれた小説があります。戦地に赴いていた主人公は希望や信念を失い、眠り、食べ、女性と供に時間を過ごすだけの日々を送ります。そしてある朝、また戦地へと旅立つ作品です。異性と交わること、食べること、眠ることだけを繰り返す生活で得たものは何なのだろうかと感じながらも、心の真髄でもある信念を忘れたこの男にとっては、この時間が再出発するために必要なことだったと完読した後感じたものです。
その後生活や気持ちに変化が訪れると決まってこの作品を思い出し、主人公が女性と別れて出発する朝のことがふと頭に浮かぶことがあります。ただ動物のように過ごした時間を捨て、また過酷な戦地に行くことに迷いや恐れはなかったのだろうかと感じます。そしてこうしたことが脳裏に浮かぶ時は自分に起きている変化を恐れていたり、受け入れることができないときだったりするものです。でもこの小説を思い出すことで、現状に満足せずに一歩踏み出す勇気を持つことの大切さを改めて実感することも多いものです。
この作品は今から10年以上も前に出会いました。それからずっと心の中にあり、作品への想いは色褪せず今でも大切にしています。この世に生き続ける限りこの小説は私の中でささやかな希望の光として輝き続けていくでしょう。

Posted in 小説LOVE | 新しいことにチャレンジする時に思い出したい小説 はコメントを受け付けていません
10月 07

演劇や映画の資料が貯蔵された図書館

先日とてもユニークな図書館に出会いました。ここは演劇や映画を専門とした資料が収納された施設です。部屋の中に一歩足を踏み入れて驚いたのは、本が一冊も並んでおらず棚に設置された小さな引き出しの中にたくさんのカードが入っていたことです。訪れた人々はそのカードを受付へ渡し、スタッフが書庫から資料を持ち出し提供するという仕組みでした。どれも紙媒体のものらしく、かなり年季の入ったものも数多くストックされているそうです。
その日受付にいた女性に気軽に声を掛けていただき、利用方法などをとても丁寧に説明してくれたことも印象深かったです。また室内の一画にある喜劇役者についての展示ブースからは、この施設の書庫にストックされている資料がいかに貴重なものかを知ることが出来ました。
私が訪れた時には2人の男性が熱心に書物に目を通しており、茶色がかった紙から歴史ある資料だということが分かりました。演劇や映画は私達の娯楽として長い年月の中で生活の中に溶け込んできました。身近にある芸術作品達のことをもっと知りたいと思う時、この施設はとても役に立つのではないかと感じます。今度ここを訪れた時には、今までの人生に影響を与えた映画やお芝居についてゆっくり勉強してみようかと思います。きっと映画や演劇をもっと好きになれる気がするからです。

Posted in 小説LOVE | 演劇や映画の資料が貯蔵された図書館 はコメントを受け付けていません
9月 22

未来を切り開く人間関係

自分を始め周囲のことを考えた時、生活環境や価値観などが近い者同士が仲良くなり行動を共にすることが多いようにいます。まさに「類は友を呼ぶ」ということでしょうか。もし今よりもっとステップアップしたい気持ちや、新しいことに挑戦したいという志があるのであれば、同類という思考に囚われず新しい人間関係を築くことが大切なのではないでしょうか。
先日読んだ本には「一流」について書かれていました。小説家であるこの作品の著者は、若い頃から紆余曲折しながら自分の道を切り開いてきました。一流と呼ばれる方々と過ごす時間が持てたことで全く異なる価値観を得ることが出来たこと、そしてそれらの人々はとても話題が豊富で一緒にいることがとても楽しくよい経験になったことが、その後の仕事やプライベートに大きな影響力を与えたそうです。こうした魅力的な方々と過ごしたこと場があったからこそ、今の自分がいると断言していたことがとても印象に残っています。
自分とは異なる仕事や生活をしている人と交流を持つことは、生活に新しい風が吹くと思います。もし今の仕事や生活に満足出来ておらず、何か行動を起こしたいと感じている時は、この作家が言うように今まで出会ったことがなかった人々と過ごす時間を持ってみるのもいいかもしれません。最初の一歩は少々勇気がいりますが、将来的にはやってよかったと思えると感じます。

Posted in 自分LOVE | 未来を切り開く人間関係 はコメントを受け付けていません
9月 07

自問自答について考える

自問自答をいう言葉があります。この言葉が強く心に残ったのは、あるバンドが奏でる楽曲を聴いたことがきっかけでした。とても積極力のある歌詞と独特な演奏からならなるこの曲は初めて聞いた時からずっと心の中に存在し続けています。それはまるで胸を打つ短編小説を読んだような衝撃と感動を与えてくれたものでした。
この曲は都会の街で生きる男の生活の中に起こった出来事を歌っています。そして通りすがりのレストランで食事をする父と幼い娘の光景を目にして、純粋無垢な子供がこの世界で起きている闇を知らずに、ただただ笑う様子を語ります。この世で起きている悲しい現実ややるせない出来事をまだ知らない子供の姿が切なくも愛おしく、その姿からは私達大人が創り出してきたこの社会への疑問を投げかけているように感じます。そして父親に見せるその屈託のない笑顔には、希望と未来が込められているのです。
未来が明るいものなのかどうかは分かりません。しかしながら全ては私達の手の中にあり、模索しながらも切り開いてゆくものだと感じます。大人になるということは、「ずるくなること」という人もいます。だけれども目先のことだけに囚われず、今の子供達が生きる未来をイメージすること、アクションを起こすことは大人の使命だと思います。そのためには自らの生き方を問うことも必要なのです。

Posted in 自分LOVE | 自問自答について考える はコメントを受け付けていません
8月 24

職業をテーマにした短編小説

世の中には様々な職業があります。私達の身近で暮らしを支えてくれるもの、影の立役者のように表には立たないけどなくてはならいもの、自分の腕一本で何かを作る仕事など挙げたらきりがありません。本屋さんに足を運ぶと仕事を題材にした書籍もたくさん並んでいます。私も自分の知らない世界を垣間見て視野を広く持ちたいと思う時、こうした本を読むことがあります。本のページをめくると日常生活では知ることのない世界が広がっていて、読んでいるだけでも新しい価値観を気付かせてくれるものです。そんな職業について書かれた、とっておきの小説があります。それは恋愛について書かれた短編小説です。どの作品も女性が主人公で、様々な職業の男性との恋模様や出会いが描かれています。登場する男性はとても凛々しく職人気質なところが、この小説の魅力だと思います。作品も去ることながら、作者が書いた「あとがき」もまた深く心に刻まれています。それは親戚が亡くなった火葬場で出会った葬儀屋の男性について書かれたものでした。人の最後を見送る姿勢がとても真摯で温かく、死を全うから捉えているこの男性は、自らの心を込めてこの仕事をしていることが分かります。仕事とは社会に貢献するためにおこなうものだと思います。ブレない気持ちを持ちと真心を込めることはなかなか難しいことですが、それが出来る人がその道のプロになれる気がしました。

Posted in 小説LOVE | 職業をテーマにした短編小説 はコメントを受け付けていません