同窓会での一幕

先日、高校三年生の時の同窓会がありました。皆に会うのは卒業以来となります。既に中年に差しかかっている私達は、男子は髪が薄く、女子は肉厚な感じ。それでも面影は残っているものです。名前こそすぐに出てこなくても顔を見れば当時を思い出し、一気に昔に戻ります。大いに飲み食いし、昔話に花を咲かせていたら、幹事の一人が立ち上がり、「ではここで、卒業アルバムでどんな夢を語っていたのか、写真と一緒に紹介していきましょう」と言い出しました。卒業アルバムなんて、それこそ一度も開いたことのなかった私は、自分が何を書いたかなんて覚えておらず、もうドキドキでした。そして、順番にその時の夢と今何をしているのかを言っていきました。
そして私の番。アルバムには「夢はまだわかりません」の一言が書かれていました。我ながらアホ過ぎてがっくりです。しかし、その時ふと思い出しました。何でそう書いたのかを…。実は、夢はありました。ただ、その夢が大きすぎて恥ずかしくて書けなかったのです。それは作詞家になること。少ない言葉で一つのストーリーを作るところに魅力を感じていたのです。とは言え、挑戦したこともなく、今でもお蔵入りの夢。そんなことをあれこれ考えていたら、幹事に「で、夢は見つかった?」と質問されたので、当時の気持ちを暴露しました。そしたら、他の皆も「実は俺もね」「私もね」と、次々と大きい夢が出てくる、出てくる。中にはハリウッド俳優という輩もいて、アメリカに行ったけど、道に迷って諦めたという人もいました。
素直になれない時期を一緒に過ごした同級生。一冊の卒業アルバムにはたくさんのドラマがあることを改めて知ったのでした。

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