この前、ある文学賞作家さんの談話を読みました。その人の作品はピアノが題材になっている小説です。私はまだその作品を読めていません。でも、ページをめくっていくと、ピアノが鳴り響いているような錯覚に陥るんだそうです。賞の選考委員だった一人の作家さんの選評では、音楽を小説で表現する難しさを乗り切った点が讃嘆されたんだそうです。そういえば、別の作家さんの小説でピアノが題材になっているものがあったことを思い出しました。とても心に残る作品でした。私は音楽も好きだから、特にピアノの音色が大好きだから、余計に面白かったのかもしれません。読者の想像ですべてが成り立つ小説は、それが音楽であれば、その演奏だって無限に広がりますものね。100人の読者がいれば100通りの演奏が頭の中で鳴らせるんです。そう考えたら、音楽と小説は意外と相性がいいなって、その文学賞作家さんは思いながら書いたんだそうです。きっとそうなんだろうなって思います。不思議だけど、確実に演奏を頭の中で作り上げていますもの。けど、そんな風に読者が演奏を鳴らすことができる文章力が素晴らしいんだと思います。どうして今まで手に取らなかったんだろうと後悔です。次に書店に行ったら、絶対に探してみます。どんな演奏が聴けるのか、楽しみです。
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