心を麻痺させる錯覚の幸福感

「心が満たされるためにすること」とはどんなことでしょうか。美味しい物を食べること、眠ることなど人によってまたその時により、欲求を満たすものは異なってくると思います。その中でも「自分の中のテッパン」と呼べるものがあり、アドレナリンが頭と体を巡り少々興奮状態になるような行動は、快感という言葉がぴったりなのです。
以前読んだ小説には、買い物が大好きな女性が描かれていました。病的にファッションアイテムを購入してしまうことが悩みでもあり、至福を感じることでもあったのです。裕福な男性と結婚した彼女は一部屋分のクローゼットに洋服や靴、バッグなどを収納していました。また購入した後に一度も身に着けていない高級なアイテムも数多くあったようです。夫はそんな妻の行動を理解しようとしつつも普通ではないと感じ、ある時妻に優しくそのことを話します。妻は夫の言葉を受け止め、その欲求を抑えることができないことを認めます。そして一度も袖を通していないコートをショップへ返しに行った帰り道に事故に遭い亡くなってしまうのです。夫が買い物についての話をしなければ、彼女は死なずに済んだのかもしれません。しかしその価値観の違いを話し合うことは必要だったと感じます。心が満たされると感じていることは、実は頭の中だけで企てられていることで、心と体は満たされていないことは多くあるものだと思います。辞めたくても辞められないこと達と向き合う時、初めて自分にとって本当に心地よいことは見えてくるものなのかもしれません。

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