良い出会いは人を救う

誰かに無性に腹を立ててしまうことがあります。その感情は、相手のことが好きであればあるほど複雑に絡み合ってしまうものだと思います。
数日前に読んだ小説には、やり場のない怒りを抱えながら暮らす女性が描かれていました。物語の背景には、親友と共同経営していたカフェを意見の不一致が引き金となり辞めたことが描かれています。長い間同士として切磋琢磨しながら共に営んでいたカフェがおしゃれなファッションビルに出店することをきっかけに、オーナーの座を降りざる負えなくなったのでした。無職となった女性は日々細々と暮らし、食事を切り詰め、心に浮かぶのは共に働いていたもう一人の経営者のことばかりです。どうにもできないわだかまりを抱きながらも、生きてゆくために今までの経歴とは全く違うアルバイトを始めます。そこで働くスタッフや仕事を通して少しずつ自分を取り戻しながら、親友であった女性への怒りが収まり、気持ちが安定してゆく様子が描かれていました。心の描写に触れながら「他者のことを受け入れることはまず自分を許すこと」だと感じました。この女性は自分に厳しいからこそ、他者に求めるハードルも高かったのかもしれません。しかしながら今までとは違う環境に身を置くことで、自分の気持ちをゆっくりと受け入れてゆくところにとても共感が持てました。そしてカフェで働いていた時に培ったことは、仕事にしなくても誰かを幸せにすることを知るのでした。
人との出会いは生きることに大きな影響力を与えるものです。決してよい出会いばかりではないかもしれませんが、話をしながら価値観を共有することで救われることもたくさんあります。もしこれから先、生きることに迷ってしまったら勇気を出して一歩前に踏み出てみようと思います。前進することでもたらされる出会いは、人生の大きな糧になると感じるからです。

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