10月 13

お寺の和室で語り続ける陶器

今から何年も前のこと、由緒あるお寺の和室を訪れました。都会の幹線道路に面した寺院ですが、一歩中に入ると池と緑がとても美しい趣がある空間だったことは今でも脳裏に焼き付いています。境内には仏像様が凛と佇んでおられ、ご利益がある巨大な数珠はまるで大きな蛇がとぐろを巻いているようでもありました。そんなお寺の和室には仏教に密接に関わる掛け軸が飾られ、その下には不思議な陶器が置かれていました。大きくて白いそれは壺のようでしたが、物を入れることは出来ないように見受けられました。なぜなら本来空いているはずの部分にユニークな形をした突起が散りばめられており入り口を塞いでいたからです。そこにいた初老の女性がその置物について質問したところ、それは「花瓶」だとお坊さんは答えました。しかしながらそれは花瓶には見えず、芸術作品としてそこに君臨しているように感じたのでした。その陶器に込められた作者のテーマは「先入観に囚われずに物事をみること」だそうで、自分が認識している花瓶とは大きく異なることに驚いたことは言うまでもありません。お坊さんがおっしゃっていたその逸話はとても印象に残っていて、「固定観念」や「物事を一定の方向からしか見ずに決めつけること」を深く考えさせられました。
骨董品や陶器などの芸術作品は、時として人の心に強く刻まれるものです。私が好きな今は亡き骨董屋を営んでいたエッセイストが書いた随筆にも美術を通して感性を磨くことや学ぶことが書かれており、読んでいるととても勉強になったものです。ただそこにあるだけで様々な思考を抱かせる作品の凄みは、人の心を魅了することをあの花瓶は教えてくれました。あの日に出会った陶器を思い出した今、骨董を愛した随筆家の本が無性に読みたくなり本屋へ足を運ぼうと思っています。

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9月 29

ラブとピースで満たされるために

テレビを観ていると心痛む事件の報道が目につきます。どの時代にも犯罪はあるものですが、いつでも心穏やかに暮らしてゆきたいと思うのが人間の常なのではないでしょうか。「愛と平和」で満ちた世界で個々を尊重し合えることは、素晴らしいことです。そのための第一歩は、それぞれが日頃から過ごしている小さなコミュニティの中で、充実したよき時間を過ごすことだと思います。
私の友達は共存し思いやりある社会になるためには、まず自分が幸せになることが大切だと言います。心の中には少なからず嫉妬や嫉み、恨みなどのネガティブな気持ちがどこかにあるものです。幸せであるためにはこうした思考を溜め込まないことと供に「自己ジャッジをしない」ということがあるそうです。「きっと私はこれをやっても上手くゆかない」「昔からの苦手分野だから挑戦するのを辞めよう」など、やらないうちに行動を制御することは自ら可能性を制限するだけではなく、充実した生き方をしている人々に対しての嫉妬にも繋がるものです。
生きることは失敗しながらも成長してゆくことです。そのため昔は出来ないことでも今出来ることは数知れずあるものなのです。以前読んだ書籍にも人生を楽しむ術が書いてあり、幾つになっても何かに挑戦することの大切さが書かれていました。年を重ねるからこそたくさんのことを経験して、それを踏み台に挑戦できることもたくさんあることをこの本から学びました。こうした心を持ちながら己を探求することは、自分を好きになると供に人にも優しくなれるのではないかと感じます。軸をしっかり持ち決してそこに固執せず、周囲との調和を大切にしてゆきたいものです。

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9月 04

手軽に足湯で健康促進

冷えは万病の元と言われています。体温が低下すると免疫力も落ちてしまうため、冷やさずに暖めることを心掛けたいものです。特に冬の寒い時期は手足などの末端が冷たくなることも多く、真夏は冷房の風に当たることで寒さを感じることもしばしばです。汗をかくことが出来ず熱を閉じ込めてしまうことで内臓器官の働きが低迷することもあるそうで、体温調節は一年を通してあなどることのできない大切なことだと感じます。
昨晩オーガニック食材を販売するお店で頂いたカレンダーをペラペラとめくっていたら、とても興味深い豆知識を発見しました。それは「足湯」です。少々熱めのお湯に塩やオイルを垂らして浸かるというとてもシンプルなものでした。手軽に出来るため休日に読書をしながら足を温めるのもよさそうだし、好きな香りのアロマオイルを入れることで心身供にリフレッシュできそうです。
体を暖めるためにも、湯船に浸かることがいいと言われています。私もなるべく実践しており、汗をかいて水分を補給することで疲れを癒し鋭気を養うことができるからです。しかしながら忙しいとシャワーで済ませてしまうことも多いもので、ついつい手を抜きがちです。足湯ならちょっとした時間にも実践できそうで、私も今後やってみようと考えています。こうした健康に暮らすためのちょっとした知恵や工夫を知ることは、生活を楽しみ元気でいるためのよいエッセンスになりそうです。

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8月 20

フリーダムを感じること

「自由って何だろう」とふと考えることがあります。好きな映画や本を読み、好物な食事を摂り、やりたいことを存分に楽しむ生活。誰にも邪魔されずに昼過ぎまで寝ること。自由を満喫する方法は、日常生活の中にたくさんあります。私がこの言葉を実感するのは、ネガティブな気持ちを忘れて心の底から笑える時でしょうか。例えば気の置けない仲間達とライブを観ながらビールを飲んで、音に身を任せていると、大きな声で「フリーダム」と叫びたくなるものです。
さて今から数年前にフリーダムな音楽イベントについて書かれた本を読みました。この本と出会った時、世の中には私と同じことを考えている人がいることに共感し嬉しく思ったものです。その書籍はアメリカのジャムバンドのファンが書いたもので、ロングセットのライブに行ったことが鮮明に刻まれていました。一晩中ステージで演奏するバンドと思い思いに音楽を楽しんでいるオーディエンスの姿がとても微笑ましくて、読み終わった時には私も幸せな気分になりました。ダンスをするもよし、恋人と寄り添いながら愛を確かめるもよし、最前列で空に向かって手を挙げながらバンドに熱い視線を送るもよし。それぞれがそこにいることを謳歌している姿から「自由」という単語が頭を過ったものです。そして最も心に残ったのは、著者がこのライブで音に浸りながら、身に起きた今までの様々なことが思い出され消えてゆき、ライブが終了した時には気持ちがクリアな方向に向いていたことでした。この著者の経験から束縛されず囚われずに心を自由にさせることで、本来の自分を受け入れることが出来ることを知りました。心も体も解放させることは生きる鋭気に繋がるのだと思い、私もそんなイベントに参加してみたいと思ったのでした。

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8月 05

別れを恐れず出会いを信じて

今は亡きミュージシャンのある一曲にまつわるエピソードが忘れられません。この曲は海外アーティストの作品をカバーしており、日本語の詞で歌われています。てっきり別れた彼女のことを歌っていて、男性の弱さを表現した曲だと思っていました。しかし本当はこのシンガーの母親のことを歌っていることを最近知りました。この方の母が亡くなった時、その女性は本当の母親ではないことを父から聞かせられます。そして産みの母もまたこの世にいないことを知るのです。とても明るいメロディー乗せて歌われたこの曲がこんなにも深い意味があったなんて知らなくて、それを聞いた時茫然としたと同時に切なさが込み上げてきました。たくさんの音楽ファンを魅了してきたこの男性にこんな過去があったとは知る由も無かったのです。
時折このミュージシャンのアルバムを聴いては、昔観たライブを思い出します。パワーがあってソウルフルでカッコよくて人間味溢れていたあのステージに出会うことがもうないことを寂しく感じます。でもライブという場で彼が生きていた時間を共有していたことは、私の人生のかけがえのない思い出として残っています。
年を重ねるということは音楽や文学、また人との出会いが増えてゆくものです。そして出会いの分だけ別れも経験しなければいけないことを常々感じます。それでもたくさんの作品に出会いたいという自分の欲望を信じて、いつまでも文学や音楽を探求してゆきたいと思います。こうした気持ちを持ち続けることは人生を豊かにしてくれると信じているからです。

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7月 22

仕事から得る計り知れない醍醐味達

仕事をすることの見返りにお給料が発生します。労働の代償としてお金を貰うことは決して容易いものではありません。先日読んだエッセイには、「仕事をするということはプロフェッショナルでなければならい」という少々手厳しいことが書かれていました。これを読んだ時、労働の奥深さを感じたものです。どんなに安い賃金でも、お金を頂くということは心構えを持って取り組まねばならいという当たり前のことをこの本は教えてくれました。またこの作品を読みながら以前友人から聞いた話を思い出したのでした。彼女は当時、営業事務をやっており慣れない業務で四苦八苦していたそうです。ある日お客様からの問い合せを受けた時、上司にその内容を相談しました。日々の雑務に追われる忙しさで頭が回らず「私にはこの質問は答えられません。」と言ったそうです。「お客さんからしたら、こちら側の背景は一切分からないもの。ここでは真摯にお客様からの質問を答えることが大切な仕事なのだ」とその上司に優しく諭されたそうです。この話を聴いた時に上司の言葉に強く賛同したものです。彼女もその後、今まで以上にやるべきことに真剣に取り組んだことは言うまでもありません。
労働に対してのモチベーションは与えられる賃金だけで維持し続けることは難しいものです。今まで自分が生きてきた価値観や考え方を変えるような思いがけない出来事との遭遇や尊敬できる上司に出会いなど、人生勉強の場でもあると強く感じます。そしてどんな状況に置かれても自分の職業に対してプライドを持つことが大切だと思います。プロフェショナルになるということはとても大変なことだと思いますが、志を高く持ち真っ向から取り組む姿勢は、少なからず誰かの心に響くものなのではないでしょうか。

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7月 10

自由って素晴らしい

本やアートなどの芸術作品に触れることは、新しい感覚を得ることができるものです。なかでも自由な表現と斬新さが兼ね備えられた作品は、いい刺激を与えてくれます。
先日科学館に足を運んでみました。この施設はとても奇抜な形をした建物で歩いていて建造物が目に飛び込んできただけで、とてもワクワクした気持ちになりました。この日はアーティストが手掛けた映像作品を鑑賞しに行ったのですが、目的の展示物以外にも興味深いコーナーがたくさんあって、何時間でも滞在したい気持ちに駆られたものです。鑑賞した映像は美しいものから奇抜なものまであり、どっぷりとその世界観を堪能しました。そして帰る時にはとっても明るくて楽しい気分になれたことは言うまでもありません。帰路に着く時の充実感の理由は、一番私の心に響いた表現の自由さだと思います。心や頭の中にある事柄をアートとして伸び伸びと描いている作品達は私にパワーを与えてくれたからです。可愛いものや美しいものに囲まれて生きることは、モチベーションを上げること、毎日の生活にピリッとした刺激を与えてくれることに改めて気付いた時間でもありました。そしてこうあるべきという固定観念に囚われず、感覚を大切に生きてゆこうとシフトチェンジする機会を与えてくれたことに感謝しています。

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6月 28

夜の空から知るエトセトラ

ある日の夜、外に出てみると輝く幾つかの星達がありました。輝き方はまちまちで、オレンジの光を帯びているもの、今にも消え入りそうになりながらも一生懸命に瞬いているものなどが私の記憶に強く残っています。そしてその輝く点の中を走る飛行機もまた夜空に一体化していて美しかったものです。
何億光年も前から瞬く星達には様々なストーリーがあるそうです。それはアテネ神話などで繰り広げられており、一つひとつの物語には恋人や家族のことがモチーフとされています。決して美しくてハッピーなものばかりではないけれど、この世に生を成した人々の苦楽を交えたエピソードを知る事が出来ます。そしてどの時代でも人は葛藤や苦悩を余儀なくされ、その中でもがきながらも幸せを見つけようとしていることを強く感じるのです。
以前、春の浜辺で天体観測をしたことがあります。その会ではお手製の天体望遠鏡で月を眺めたことを覚えています。その晩は満月で、うさぎのようでうさぎには見えない不思議な絵柄が施されていて、夜空の神秘を感じたものです。あれから月日は経ちましたが、時折夜半に外に出て空を眺めて心を落ち着かせることが生活の一部となりました。山合のキャンプ場ではないため、たくさんの星を見ることは出来ませんが、輝く星達や月を目にすることは魅惑的な美しさをはらんでいて心惹かれるものです。今後もし機会があれば、アテネ神話などを描いた書籍を読んでみようと考えています。こうした本を読む事で、また一つ神秘を感じる楽しみが増えそうです。

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6月 14

深みある言葉と小説は私の宝物

自分の行動に責任を持つことは、自分に嘘をつかないことだと思います。仕事や日々の暮らしの中で困難な状況に見舞われた時、それを回避するために誰かのせいにしてしまうこと、矛先を他のことに変えてしまうことを少なからず経験してきました。こうした思考を持つことはとても楽で安易なことだからです。しかし本当のことが分かっているのにも関わらず、このような回避方法を続けていると何度も同じことに躓いてしまい、ただ逃げているだけで同じところを巡り続けることになると考えるようになりました。私の尊敬している知人は、「全ての行いは自らが招いたもの」と言います。この言葉は私の心の中にずっとあり続けており、生きてゆく中で重要なキーポイントになりつつあります。
私が好きな短編小説を集めた単行本にも先に挙げた「責任や嘘」について書かれたものがあります。主人公達はそれぞれのスピードで生き、考えながら困難に立ち向かうのです。それはとても辛いことでもありますが、真っ向勝負で潔い生き方は読む者の心を確実に捉えます。この作品の魅力は、心の傷を受け止めて正直に生きるという人間の真の強さを描いているところなのです。私という人間がこの世に存在し続ける限り、この小説や知人の言葉を宝物として大切にしてゆくと供に、気持ちがぶれてしまう時には軌道修正するためのよきツールになるのではないかと思うのです。

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6月 04

愛とは計り知れない奥深さがあるもの

「ラブ、ヘルス、ジョブ、マニー」は私達が生きる上で密接な関わりがある事柄達です。人との関係を示す愛、生きることを謳歌するためにもなくてはならない健康、そして仕事、お金と大切だからこそ、これらのことで悩み考えることも多々あるものです。そして私がこの中で最も大切でもあり悩み深いものだと感じるものに「ラブ」があります。家族や友達、仕事仲間とあらゆる場面で愛情があるからこそ良い関係が保てるからです。しかしながら奥深いが故に、困難を強いられることも多いのが現実です。
以前友達と食事をしていた時に、愛情と憎しみと嫉妬についての話題になりました。憎しみとは、好きだからこそ生まれる愛情の裏返しという表現をしていました。彼女曰くどうでもいい相手に対して憎しみの感情など持たないそうです。好きという思いが捻じ曲がりながら形を変えていつしか、憎悪になるという意見はとても興味深かったです。確かに嫌悪が増幅することは、それなりの経緯があるだろうし強いパワーも必要です。そこまで突き詰めるということは、やはりどこかでその人を想う気持ちがあるのかもしれません。
友達との会話から今まで色々な小説を読んできた中で、嫉妬や憎しみをテーマにしたものが数多くあったことを思い出しました。小説の題材になるということは、それだけ多くの人々の心に宿る感情なのだと知ることができます。同時にこの難題と供に生きることは避けることができないこと現実なのかもしれないと考えるようになりました。そしてどんなに文明が発達して世の中が変わったとしても、これらの葛藤がある限り人の気持ちは変わらないことにどこか安堵してしまう自分がいることに気付かされました。

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