12月になり数日が過ぎたばかりですが、街の雰囲気はクリスマス一色ですね。
まぁ、12月どころか、ハロウィンが終わってすぐの11月1日から世の中はクリスマス商戦へと向かっていたように思いますが。
宗教観が混沌としている日本ならではの景色かと思いますが、冬の町中に流れるクリスマスソングやデコレーションは幾つになってもワクワクするものです。
そんなときふと思いました。
クリスマスに関する絵本や書物でが外国が題材になっているのが当たり前のことではありますが、日本のクリスマスが題材の小説はあったかなと。
過去に読んだかもしれませんが、とんと思いませんでしたので調べてみました。
そうして、太宰治が「メリイクリスマス」という短編小説を書いていたことを恥ずかしながら初めて知り、読んでみました。
戦後すぐの冬の東京の話で、主人公の男が師走の巷の空気のなか、映画を見たり、本屋に入ったりする冒頭の空気感がとても気に入りました。なんとなく私も、休みの日に同じことをしてみようかなと思うような気持にもなります。
ただ、クリスマスという言葉が出てくるのは本当に最後の最後で、酔っ払いがアメリカの兵隊におどけた様子でメリイクリスマスと声をかけただけでした。
冒頭で主人公が「この都会は相変らずです。馬鹿は死ななきゃ、なおらないというような感じです。もう少し、変ってくれてもよい、いや、変るべきだとさえ思われました。」と故郷のとある人に便りを出しているのですが、その酔っ払いの様子を見て最後に、「東京は相変らず。以前と少しも変らない。」と締めるのです。
戦後に元気を失わない東京、というよりかはその阿呆さに呆れて見下している主人公らしい結び。
太宰治の作品は今までいろいろと読んできましたが、それに共通した「太宰の描く男」らしさを感じましたね。
青空文庫で気軽に読めるので是非読んでみてください。