甘さとほろ苦さが味わえるキャラメルを題材にした小説

甘いものを食べると心が満たされるものです。心身ともに疲れている時に、チョコレートを一かけら口に入れるだけで、行き詰っている気持ちが解き放たれることや目の前にある仕事をもう少し頑張ってみようという気持ちになった経験を持つ人も多いのではないでしょうか。そんな気持ちにさせてくれるのは、チョコレートだけではありません。昔からキャンディの定番とも言えるキャラメルもその一つだと思います。
私のお気に入りの小説にはそんな美味しいお菓子を題材にした物語があります。この作品は粋なおばあちゃんでとその孫の男性の関わりを軸にしたお話しです。ガソリンスタンドでバイトをしながら生計を立てる20代の孫には心寄せる女性がおり、その人とお付き合いすることになります。しかしながら関係は上手くゆかず男性は辛い別れを経験します。そんな彼の祖母は恋愛の師範ともいえる人でいつも颯爽としていて、とにかくカッコいい女性です。そしてこの女性のカバンの中にはいつでも昔から売られているキャラメルが入っています。その箱を取り出しては一粒口に入れるのです。その姿がとても洗練されており、私もこの作品を読んだ直後はよくキャラメルを食べていたものでした。そしてこの小説は甘さの中にもビターさがあるこのキャンディと恋愛の醍醐味をとても丁寧に絡めて描かれています。
恋愛には優しさだけではなく時にはスパイスも必要なものです。甘い中にほろ苦さがあるこのお菓子を食べると思い出すこの小説は、若かりし頃のビターな恋愛を思い出させてくれるものです。そしてこの小説の主人公もまた年を重ねてキャラメルを食べた時に、辛い経験が心地よい思い出に変わる日がいつか来てほしいものだと思いました。

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