花屋といえば思い出す小説

もう半年近くも前になります。ある初夏の日に友達夫婦とその子供と博物館に行った帰りにアイスを食べるため、ある駅に降りました。ガード下には下町らしい個性的なお店が立ち並んでいたこともあり楽しい街歩きをしていたところ、多くのお客さんで賑わう花屋を見つけました。どれもとても安くて新鮮なものばかりで、見ているだけでもワクワクしたものです。その日私達はまだ蕾の芍薬を購入しました。友達の子供が両手いっぱいに芍薬を抱えている姿が愛らしくて、町行く人々のアイドルになっていたことが懐かしいです。そんな微笑ましい光景と一緒に浮かんだのは、お花屋さんで働く女性が主人公の小説です。小さな店を切り盛りする女性と一緒に暮らす塾の講師をする男性の恋愛を描いた作品です。何気ない日常生活を通して描かれた大人の恋愛は、まだ若かった私の心に新鮮に響きました。カッコいいバーも高級なレストランも出てこないけど、じっくりと育む愛と居心地がよい場所があれば幸せなのだと感じたものです。しかしながらこの小説のラストは思いがけない出来事が待ち受けており、人生とはただならないものなのだということを知るのでした。この小説のように遠かれ近かれ未来の自分に青天霹靂な出来事が起ころうとも、お花を綺麗だと感じる心や気持ちのゆとりは持ち続けていきたいと思いました。
…なんてことを急に思い出して筆を執ったのでした。

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