短編小説のようなラップ

ある朝のことです。ラジオをつけてみたらノンストップで音楽を流す番組が流れていました。朝食を食べながらなんとなく聴いていたところ、ある日本語ラップに心奪われてしまいました。その曲は太陽が昇る光景を鮮明に描きながら、そのシチュエーションをスタートという言葉で表現していました。ラップのバックに流れるサウンドはとても機械的でありながらもどこか暖かかったことを今でも覚えています。そしてスタートと背中合わせにあるゴールについても歌われており、切ないながらにも一歩前へ踏み出る気持ちを美しい言葉で刻んでいた歌詞がとても印象に残っています。この朝の音楽番組では他にも同じアーティストの曲が流れて、どの歌もその歌詞の状況が鮮明に思い浮かぶようなメッセージ性の強いものばかりでした。そして彼らの曲はまるで短編小説を読んでいるような世界観を与えてくれることに気付かされました。歩いている街並みや置かれている状況、心理までもが伝わってくるラップは、想像力が膨らむと同時に作り手の心境に共感を覚えるものです。
その日の朝、たまたまつけたラジオからこんなにもいい音楽を聴けたことを、とても嬉しく思います。またいつかこんな運命的な出会いをしたいと心から願っています。

This entry was posted in 小説LOVE. Bookmark the permalink.

Comments are closed.