サスペンス小説を読んで

先日、近藤史恵さんの「はぶらし」というサスペンス小説を読みました。サスペンスと言っても、人が殺されたり死んだりとかそういうお話ではありません。けど、ずっと絶えず、なんとも言えない不安な気持ちが読んでて続くんですよ。ハラハラドキドキというか、イライラモヤモヤみたいな。
簡単なあらすじとしては、脚本家として活動している鈴音に、高校時代の同級生、水絵から深夜に突然電話がかかってくるところからはじまります。鈴音と水絵は同級生といっても、そこまで交流はありませんでした。けど、声が切羽詰まっていたため会うことに。すると水絵は7歳の息子を連れていて、今の生活がとても苦しいことを延々と話され、一週間でいいから家においてほしいと懇願をされます。当然、そこまで親しくない水絵のお願いに鈴音は困惑しますが、小さな子供もいるし、一週間だけというので渋々了承をします。
ここからふたりの共同生活がはじまるのですが…。思ってる以上に、生活スタイルや価値観、考え方の違う他人と暮らすこと、人に親切にすることの難しさが露呈していきます。ふたりの行き違い(というか水絵がすごくずれてる…)のやりとりが妙にリアルで不快感がすごいです。すごく大きな事件が起きるとかではないんですけど、色々考えさせられる一冊でした。帯にかかれていた「人にやさしくするのはドラマほど簡単じゃない」って言葉がしっくりきました。

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