鉄道と駅と街

当たり前のようにいつも使っている電車。日常に溶け込み過ぎていて今までじっくり考えたことはありませんでしたが、一本の長編小説に出会ったことで少し意識が変わったような気がします。電車が走る線路、乗客が利用する駅、そこには人々に根付いた街があることを改めて知ったのでした。また鉄道と供に発展し政策により衰退を余儀なくされてきた街を舞台に、そこで暮らす住民らの人生が色濃く映されたストーリーは何とも言えない温かさを与えてくれました。駅を利用する者達にはそれぞれの暮らしがあり、そこには様々な思いや背景が存在します。こうしたことから都市には生命の息吹が注ぎ込まれていると感じます。駅もまた乗降客の暮らしと密接に関わっており生き様が宿っていることを考えると、自分が住んでいる街に対して愛情を持つことにも繋がりました。
人生とは例えるなら線路のようなものなのかもしれません。始発の電車に乗り終着駅を目指して時には特急のように速く、また時には鈍行列車のようにゆっくりと足を進めながら私達は「死」というゴールに向けて歩んでいると思うからです。鉄道への親近感を持つきっかけとなった小説との出会いは、日々の暮らしを濃密なものにするための気付きを与えてくれたように感じています。

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